匠のコラムColumn

最近、「デュアルライフ(二拠点生活)」という暮らし方が注目を集めています。都市と地方、仕事と自然、利便性と癒し——これらを行き来しながら暮らすスタイルが、働き方や住まいの考え方の多様化により広がってきました。
特に家づくりを考える人の中には、「住む場所」だけでなく「暮らし方」そのものを柔軟に設計する人が増えています。さらに、地方移住を考えるUIJターン希望者にとっても、デュアルライフは移住の準備段階として非常に有効な手段となり得ます。

デュアルライフとは?

デュアルライフとは、2つの拠点を持ち、行き来しながら暮らす生活スタイルです。
たとえば、都心での仕事や学校を維持しながら、週末や長期休暇には自然豊かな郊外や地方の拠点で過ごす、といったスタイルです。一昔前までは、こうした暮らしはごく一部の人に限られたものでした。しかし、テレワークやフレックスタイム制の普及、さらに自治体の移住支援策などにより、今では現実的なライフスタイルの選択肢になっています。

UIJターンとの相性が良い理由

UIJターンとは、Uターン(地元に戻る)、Iターン(地方へ新たに移住)、Jターン(地方出身者が地方都市へ移住)といった、地方移住全般を指す言葉です。
完全に移住するには、仕事や家族の環境、教育や医療体制など多くの判断要素があります。そこで注目されているのが、「まずはデュアルライフでお試し移住をしてみる」という方法です。
例えば、地方に住宅を建て、週末やリモート勤務日に滞在、子育ての一環として自然の中での生活を取り入れる、地域コミュニティに少しずつ関わりを持ち、将来の定住に備える、こうした段階的なアプローチにより、「いきなり移住して失敗したらどうしよう…」という不安を軽減できます。

メリット:暮らしに“選べる自由”を

デュアルライフの大きな魅力は、「選択できる生活空間があること」です。都市の利便性や仕事のチャンスを享受しながら、もう一方では自然や静かな時間を楽しめる。これは、1つの場所だけに縛られていた従来の暮らし方にはなかった柔軟性です。
また、二拠点目の家を「セカンドハウス」ではなく、資産運用の一部として考える動きもあります。空き家を改修して活用したり、地域とのつながりを通じて仕事や副業に展開したりと、新しい価値を生み出すことも可能です。

デメリット・注意点

一方で、気をつけるべきポイントもあります。
コスト面:住宅取得費に加え、維持費・交通費・税金など二重にかかるケースが多いです。
生活管理:空き家にしている間の防犯・湿気・メンテナンス対策が必要です。
地域との関係:初めて関わる地域では、少しずつ信頼関係を築いていくことが大切です。地域行事への参加や日常の挨拶など、小さな積み重ねが新しいつながりを生みます。
家族との価値観の共有:生活リズムや拠点の優先度をすり合わせる必要があります。

家づくりと一緒に考えたい「これからの暮らし方」

今、住宅を建てることは「場所を固定すること」ではなく、「暮らし方を設計すること」へと意味合いが変わりつつあります。
自分たちは本当にどこで、どんな生活をしたいのか。
都市と地方、両方のメリットを取り入れたハイブリッドな暮らしは、未来のライフスタイルのヒントになるかもしれません。

まとめ

UIJターンを検討している方にも、今の暮らしにゆとりや変化を求める方にも、「デュアルライフ」は新しい選択肢としておすすめです。
まずは週末だけ、あるいは数ヶ月に一度からでも。デュアルライフという“お試し移住”のかたちで、あなたにとって本当に心地よい「暮らし方」を探してみてはいかがでしょうか?

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