匠のコラムColumn

日本の土地価格は、時代や経済情勢の変化に伴い、大きな波を描いて推移してきました。バブル経済の崩壊やリーマンショック、新型コロナウイルスの影響など、様々な要因が土地価格に影響を与え、特に都市部と地方では異なる動きを見せてきました。
本コラムでは、日本の土地価格の推移を振り返り、今後の見通しや投資のポイントについて解説します。

過去の土地価格の推移と要因

日本の土地価格の推移には、国内外の経済情勢や政策が深く影響しています。特にバブル期、バブル崩壊後、リーマンショック、そして現在に至るまで、土地価格には大きな変動がありました。

◇バブル経済期とその崩壊
1980年代後半、日本はバブル経済期に入り、土地や株式などの資産価値が急激に上昇しました。特に、東京都心を中心に地価が異常なほどに高騰し、土地は「買えば上がる資産」とされ、多くの企業や個人投資家が土地を投資対象として購入しました。しかし、1990年代初頭にバブルが崩壊すると、地価は急落し、日本経済は「失われた10年」とも呼ばれる長い不況に突入しました。このバブル崩壊は、日本の土地価格の長期低迷をもたらし、以降の地価回復は緩やかなものにとどまりました。

◇リーマンショックによる再度の地価下落
2008年に発生したリーマンショックは、世界経済全体に大きな打撃を与え、日本の土地価格にも再度の下落を引き起こしました。特に地方の地価が大きく影響を受け、都市部も若干の下落が見られました。日本ではバブル崩壊の傷がまだ癒えない中でのショックだったため、再度の地価下落が日本経済に与えた影響は大きく、回復にはさらなる時間を要しました。

◇東日本大震災による地価の変化
2011年に発生した東日本大震災は、日本全体の地価に間接的な影響を与えました。震災後、被災地の地価は一時的に下落しましたが、復興需要の高まりにより、復興関連の地域では地価が安定し、徐々に回復を見せました。一方で、災害リスクの低い地域への関心が高まり、都市部や西日本への移住ニーズが増え、特に東京や大阪などの大都市圏の地価が上昇するきっかけにもなりました。

◇新型コロナウイルスによる影響
2020年に世界を襲った新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、土地市場にも新たな影響を及ぼしました。人々の生活様式や働き方が変化し、リモートワークの普及により、都市部から地方への移住が増えた一方で、都市中心部のオフィス需要が減少するという新たな動きが見られました。これにより、地方の地価が一部上昇する一方で、都市部の商業地など一部エリアでは価格の下落が見られました。

現在の土地価格の動向

現在の日本の土地価格は、都市部と地方、さらに住宅地と商業地で異なる動きを見せています。都市部では価格の上昇傾向が続く一方、地方や商業地では状況が異なります。

◇都心部の住宅地は高値で推移
特に東京都や大阪府、名古屋市などの三大都市圏では、住宅地の地価が堅調に推移しています。低金利政策の影響もあり、マンションや住宅の需要が高まっており、地価の上昇が続いています。また、東京や大阪などでは再開発プロジェクトが相次ぎ、駅周辺や利便性の高いエリアの土地価値が増しています。

◇地方都市や郊外では価格が安定
地方都市や郊外では、地価が比較的安定している傾向にあります。特に中核都市と呼ばれる地方の主要都市では、商業施設や公共交通機関が整備されることで、利便性の高いエリアが注目されています。また、リモートワークの普及により、地方移住への関心が高まっていることもあり、地方の一部地域では住宅地の地価が微増しています。

◇商業地の地価は分かれる傾向
商業地の地価は、エリアごとに異なる動きを見せています。観光地や繁華街では、新型コロナウイルスによる影響で地価が下落した地域もありますが、一方で、再開発が進む都市部の商業地は依然として高い水準を維持しています。例えば東京の渋谷や大阪の梅田など、大規模な商業施設や再開発の進む地域では、地価の上昇が続いています。

今後の土地価格の見直しと影響要因

今後の日本の土地価格には、いくつかの要因が影響すると考えられています。これには、人口動態、金利政策、インフラ整備、外国人需要などが含まれます。

①人口減少と少子高齢化
日本は、少子高齢化と人口減少が進んでおり、特に地方の土地需要が減少することが予測されています。人口が減少する地域では、地価も長期的に下落する可能性があります。一方で、東京や大阪といった一部の大都市は人口集中が続き、これらの都市部では土地の需要が今後も継続し、地価の維持または緩やかな上昇が期待されています。

②インフラ整備と再開発
新たなインフラ整備や再開発プロジェクトも、土地価格に影響を与える重要な要素です。リニア中央新幹線の開通や地方都市の再開発プロジェクトが進めば、その周辺地域の地価が上昇することが予想されます。特に駅周辺や利便性の高いエリアは、今後も価値が高まる可能性があります。

③外国人需要の影響
近年、日本への観光客や外国人投資家が増加しており、観光地や都市部の一部地域では外国人需要が地価に影響を与えています。2020年以降、コロナ禍で観光需要が一時的に減少しましたが、感染拡大が落ち着くにつれ再び観光客が戻り、外国人投資も活発化する可能性があります。外国人需要は特に、京都や東京、大阪など観光や商業が盛んな地域の地価を支える要因となるでしょう。

④環境リスクへの配慮
日本は自然災害が多く、地震や台風などのリスクが地価に影響を与えることがあります。特にハザードマップなどで災害リスクが高いとされる地域では、土地購入者が敬遠する傾向があり、地価が下落しやすくなっています。今後は、自然災害リスクが低い地域への需要が高まるとともに、災害に強い都市設計やインフラ整備が地価に影響を与えることが予想されます。

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